2020年8月の霊想

  痛恨の極み(8月2日)

 今も読み継がれている『甘えの構造』の著者、土居健郎氏はクリスチャンでもあり、精神科医として心の世界の深みを誰にでもわかる形で解き明かされました。土居氏の話の中で最も心に残る一つは、ご自分の患者さんが自ら命を絶たれた時の話です。それは予期せぬことで、医師としての未熟さだと赤裸々に語っておられます。
「医師が患者自身の悩みを知り、『自ら命を絶つ可能性もあるのではないか』と察知している場合、ほぼ、患者さんは自害なさることはない。(患者さんの自害は)相手を十分に知ったつもりで、実は何も知らなかったことであり、痛恨の極みである」と語られました。
人間にとって最も必要な愛とは、自分が知られていることです。心の病の多くは、愛の欠如、すなわち、忘れられていることに起因するからです。
大切なことは、自らに深い関心を持ち、自分と会話する時間を持つことです。自分を知ることは神を知ることであり、神を知ることは自分を知ることです。そして、何よりも、あなたご自身がすでに神に知られていることを鮮明にしましょう。
「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して下さって、わたしたちの罪のためにあがないの供え物として、御子をおつかわしになった。ここに愛がある。」(Ⅰヨハネ4・10)

  心の構築(8月9日)

 「構築」とは、組み立てて築くことです。書物は文字の組み合わせです。石は原子の組み合わせです。植物や動物、人間は、細胞組織の組み合わせです。
さて、あなたの心はどのような組み合わせですか。
人生の目的はただ一つ、「あなたならではの心」の構築です。人は、意識していなくても絶えず何かを思い、考え、行動し、心の構築を試みています。心の構築には様々な資材を用いることができ、日々織りなす出来事すべてが材料になります。「これは便利、これは大好き」と思うものよりも、「こんなものは不要、このことさえなければ」と思う事柄が豊かな資材として用いられることを体験していらっしゃいますか。
どのような心が構築されているかは、自分も他者も確認はできません。しかし、人生の嵐、試練に出会った時に明らかになります。状況に振り回されるのではなく、状況に良き対応をし、否定的消極的な人たちがあなたを引き下げようとしても、彼らを引き上げて余りあるような心の構築は、一人びとり、その手法もリズムも違います。ただ共通していることは、み言葉と祈りによって、コツコツかつコツコツと建て上げられていきます。
いつも心の構築を意識し、様々な出来事を用いてあなたならではのすばらしい心の世界を建て上げましょう。

  捧げることの本質(8月16日)

 教会員の佐藤さんが、友人から「新車を買ったのですが、教会でお祈りをしてもらいたいのです。いくら献金すればいいですか」と質問を受けました。あなたならどのように答えますか。
この答えは、教会での葬儀、結婚式についてと同じです。本質を語ることが面倒になり、一般的な「このくらいです」という答えをし始めると、本質から離れ、形骸化してしまいます。献金は神様に捧げるもので、あなたが心いっぱい喜んで捧げることが大切です。金額ではありません。あなたが、この本質をしっかりとお語りになることです。
佐藤さんは、レプタ2つを捧げたやもめの話から献金の説明をなさいました。そして、このことを通して、友人はクリスチャンへと導かれました。さり気ない問いに対して、キリストの心をしっかりと自分のものとして答えていくことこそ、日本の未来に希望を与えます。
「イエスは目をあげて、金持たちがさいせん箱に献金を投げ入れるのを見られ、また、ある貧しいやもめが、レプタ二つを入れるのを見て言われた、『よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである』」。(ルカ21・1~4)

  捧げることの本質(8月23日)

 再建が極めて困難、と言われたJAL(日本航空)が1年余りで再興した秘密は何か……。3万人とも言われる大所帯を指揮した稲盛和夫氏は、どのような秘策をもって成し遂げたのでしょう。
優秀な大学を卒業した幹部たちに語ったのは、極めて基本的な「感謝」「謙遜」でした。当然、幹部たちは失笑し、「そんな子どもじみたことを……」という反応でした。そこで稲盛氏は、毅然と、鋭く言いました。「組織と人の有り様の基本を申し上げました。皆さんは『そんなことよくわかっている、子どもじみた』とお笑いになりますが、わかっていても少しも身についていないゆえに、この会社はつぶれたのです。」と。
背水の陣を敷いて臨む稲盛氏の言葉に、多くの幹部はじめ、社員、会社全体が目を覚まし、奇跡の回復を遂げたのです。
あなたも「わかっている」と言うだけではなく、それを骨の髄までしみ渡らせるために、いつも初心に返り、悔い改め、祈り、聖書を読み、確かな方とのいのちの関係を強化していくことです。
「あなたは初めの愛から離れてしまった。そこで、あな たはどこから落ちたかを思い起し、悔い改めて初めの わざを行いなさい。」(黙示録2・4~5)

   夢の種に水を注ぐ(8月30日)

 神様は、すでにあなたの人生に祝福を約束しておられます。しかし、思うようにいかないと、つい、「自分はこのように育ったから」と、その原因を状況や過去に求めがちです。しかし、過去に拠り所を置かない生き方もあります。むしろ、過去の試練が大きければ大きいほど、それらは未来の祝福の種になります。
本田技研工業の創設者、本田宗一郎氏は、貧しい鍛冶職人の家に生まれました。そして、15歳で自動車修理工場の丁稚になりました。過去が未来を作るのなら、今の「世界のホンダ」は存在しませんでした。15歳の本田少年は、油まみれのただ中で「将来、世界をあっと驚かせてみせる」と、大きな夢の種に水を注いでいたのです。
あなたの人生も、どのような状況にあっても、確かないのちの水を今のご自分に注ぎ続けることです。すでに神様の御手の中に、思いをはるかに越えた未来が備えられています。
「人は自分のまいたものを、刈り取ることになる。…霊にまく者は、霊から永遠のいのちを刈り取るであろう。…たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。」(ガラテヤ6・7~9)

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