この実話をご存じの方もおられるでしょう。
アメリカ・アリゾナ州にある広大な自然公園「カイバブ高原」では鹿の数が減少し、絶滅の危機に直面しました。解決策として、鹿の天敵であるピューマやコヨーテなどを徹底的に駆逐しました。ピューマは約700頭、コヨーテも約7000頭、駆除しました。その結果、鹿が10万頭に達しました。
しかしその後、一気に鹿の数が減ったのです。その原因は、鹿の餌となっている高原の草が食い荒らされ、大量の鹿が餓死したというのです。公園の面積内では一定数以上の鹿は生息できなかったのです。同時に、ある程度の天敵がいることは、むしろ、理想の状態だとわかりました。
人生も、すべての不安・試練を取り除くことが、快適さの条件となる時があります。しかし、不安や試練と共に生きることで成り立つことも多くあります。敵も味方も、敗者も勝者も、弱い者も強い者も、共に生きる……それが新しい人類の生き方です。
「このことについて、わたしは彼を離れ去らせて下さるようにと、三度も主に祈った。ところが、主が言われた、『わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる』。それだから、キリストの力がわたしに宿るように、むしろ、喜んで自分の弱さを誇ろう。」
(Ⅱコリント12:8~9)