2007年12月の霊想

  成長の条件 (12月2日)

 あなたご自身や身近なお子さん、あるいは伴侶など、ぜひこの人に成長してほしいと願うことがおありかも知れません。ちょうど、ほしい品物を得るために、それに見合った資金が条件であるように、人が成長するための条件があります。それは、共感的理解と自己洞察です。
 共感的理解とは、自分のいる状況を丸ごと受け入れてもらうとホッとする、このホッとするぬくもりです。と同時に、自己洞察、すなわち、自分の実体を知ることです。四角だと思っていた自分も実は三角だった、ということを他者に受け入れられると同時に、自分でも「あ、三角か」と、三角をあきらめるのではなく、それを納得する時に必ず成長していきます。
 そのために、今週もしっかり主と共に歩み、祈りの生活を過ごすことです。その時に、確実にその状況があなたにもたらされ、必ず前進することができます。

「どうか父が、その栄光の富にしたがい、御霊により、力をもってあなたがたの内なる人を強くして下さるように、また、信仰によって、キリストがあなたがたの心のうちに住み、あなたがたが愛に根ざし愛を基として生活することにより、…人知をはるかに越えたキリストの愛を知って、神に満ちているもののすべてをもって、あなたがたが満たされるように」(エペソ3・16~17、19)

  あなたの人生の美しさは…? (12月9日)

「日本の美しさとは何でしょうか」と、NHKのキャスターがゲストに質問しました。ゲストである著名な日本画家の千住博氏は「それは静けさと華やかさの共存。
これは、他の国にはありません」と答えられました。この言葉を聞いた元静岡文化芸術大学学長をしておられた故木村尚三郎氏は、「まさに、目からうろこ。本当にその通り」と絶賛しました。
 日本の美しさとは―。あなたはどのようなことを挙げられますか。答えがなかなか出てこないかも知れません。私たちは、日本に住んでいると慣れっこになり、宝をつい見落としがちになるものです。
 さて、それでは、「あなたの人生の美しさは」と聞かれたら、あなたは何とお答えになりますか。
 「試練と宝」とお答えになる方もおられるでしょう。
人生には、数多くの困難、そして不可解な事、試練があります。それらは皆、受け止めていくことができるだけでなく、主にあってその偉大な力によって宝に変えられます。
 その宝を味わい、それを人々にお分かちすること、これが人生の唯一の目的であることを、今週も、しっかりと確認しましょう。

  何が見えますか  (12月16日)

 米沢興譲教会の先輩で大塚栄さんという方がおられました。大塚さんは目がご不自由でした。
 水曜日の夜の祈祷会のことです。大塚さんが証しをされ、人々が慰めと希望をたくさんいただいていたその最中、停電になりました。みんなは一瞬ざわめき、ある人が「見えない」と言いました。すると大塚さんは、「何が見えないのですか。イエス・キリストが、主がここにおられることが見えるでしょう」と語られました。そして、戸惑う私たちに、「何と、目が見える人はご不自由だろう。私にとっては、電気の点いている時も、消えている時も、全く同じですよ」と、全盲であられた大塚さんは、ほほえみいっぱいに励ましてくださいました。あの夕べを、50年経った今も、決して忘れることはありません。
 先だっても、大塚さんのお嬢さんと教会で懐かしい昔のことを語り合いました。どんな時も大丈夫、この一元の生き方を実体で生きられた大塚さんの証しは、あなたへの、米沢興譲教会からのすばらしい遺産です。
 この宝を味わいつつ、今週も歩みましょう。

   「わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目
    を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないも のは永
    遠につづくのである。」(Ⅱコリント4・18)

  地 上 で の 目 的  (12月23日)

  名優・滝田栄さんは、数多くの名役の中でも、『レ・ミゼラブル』の主演を長きに渡って演じられたことで知られています。
聖書に継ぐ第二のベストセラーといわれる『レ・ミゼラブル』ですが、主人公のジャン・バルジャンが己の罪に気づき、後の人生をまっすぐに 生き抜くという感動の物語を演じられ、一晩で何千人という観客が滂沱の涙に暮れる感激を味わったこともあるそうです。その役を演じ続けてい たある日、「演じている自分自らの人間性はどうか」と、天来の声が聞こえてきました。そして、役を演じる中で自分の本当の姿に向き合い、後 に、宗教的世界に導かれました。
 希望や理想を高く持って生きることはすばらしいことです。その歩みの中で、ある時、ふと現実と理想のギャップに気づかされ、理想や夢では なく、ありのままの自分の姿に光を当てられる時がきます。その時、過ぎてゆく時に流されることなく、足を止め、そのただ中に来てくださる方 、そのありのままを受け入れてくださる救い主を受け入れることです。これがクリスマスの恵みであり、この方と共に歩むことこそ、私たちが地 上での滞在目的であることを、今週も、しっかりと味わってまいりましょう。

  視点を変えて (12月30日)

 当教会にもかつて来ていただいた人気テノール歌手、新垣勉さんは、米軍兵のお父さん、日本人のお母さんのもとに誕生しました。しかし生後まもなく目薬と劇薬を間違えて点眼され、失明。追い打ちをかけるように両親は離婚。その後、お母さんは再婚し、新垣さんは祖母のもとで育てられました。たまに来るお母さんを、年の離れたお姉さんだ、と教えられたと言います。
 しかし自分の境遇を知った時、自暴自棄になり、隣りの井戸に飛び込んで死のうとしたり、当時は、両親、助産婦に対して憎しみを抱き「自分ほど不幸な人間はいない」と考えていました。そんな時、ラジオから流れてきた讃美歌がひとすじの光のように感じ、教会に足を運ぶようになりました。
 やがて、歌のレッスンを受けるようになり、世界的に著名なボイストレーナーが、「君の声は日本人離れしたラテン的な明るい声だ。なぜそんな声が出るのか」と問われ、「父はメキシコ系の米軍兵です」と答えると、トレーナーは「すばらしい声を授けてくれたお父さんに感謝しなければ、神様からのプレゼントです」と言いました。この一言で彼の人生が一八〇度変えられたのです。
 不遇と思えることも、視点を変えると、そこに新しい道が開かれます。

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