2011年9月の霊想

  二つの信仰   (9月4日)

 収穫の喜びは、種蒔きの苦労によっていっそう増します。日の出は夜の暗さがあるから、いっそう感動します。春の喜びは冬の厳しさによっていっそう増します。そして、多くの人は、種蒔きの苦労、夜の暗さ、冬の厳しさの中で、この時が過ぎ去るのをじっと我慢して過ごしたり、また気落ちすることがあります。
 しかし人生は、気落ちし、動転し、思い煩いながら歩むほど長くありません。種蒔きの苦労、夜の暗さ、冬の厳しさのその中で、その時を楽しむことです。
 信仰には『助け求める信仰(delivering faith)』と『信じ抜く信仰(sustaining faith)』があります。
 助け求める信仰は、神様に即座に助けてくださいと祈ることで、私たちはそのように祈りますし、また神様はそのように答えてくださることもあります。
 一方、信じ抜く信仰は、自分の周囲の状況はかわらないけれども、この困難な状況を乗り切っていく力を神様が与えてくださる、そのことを信じる信仰です。
 つらく、苦しく思われる状況でも、今日の一日、神様が私を支えてくださる、今日の一日を喜びをもって生きる力をくださる、このことを信じて歩むのです。信じ続けることによって私たちの信仰の根が日に日に深くなっていきます。そして豊かに実を結ぶようになります。

  身体で考える  (9月11日)

  たくさん持っているだけで安心、という人がいます。物に限らず、知識も同じです。見たこと、聞いたこと、学んだことをうずたかく積み上げ、持っているだけで満足していらっしゃいませんか?
 大切なことは、知識を活用し、自分の体の一部、否、全体とすることです。そのためには、自分の身体で考え、実践することです。
 先日、企業研修の講師として出向いた折のことです。「営業の終わりをお客様に告げるのに、『閉店まで10分となりました』とアナウンスをするのと、『蛍の光』を流すのとどちらがいいか」と伺いました。すると「音楽よりも、はっきりと伝えてきちんと帰っていただく方がよい」と何人もの方が言われました。その方々に、「それでは、あなたがお客様のお立場なら、アナウンスと音楽ではどちらがいいですか」と伺いますと、「音楽の方が、それとなく知らされ、急かされない感じでいい」と答えられたのです。
 「人間関係は、相手の立場に立って」という知識を、このように頭でなく自分の身体で考えると、新鮮な発見があり、心豊かな解答が得られます。
 今週も、み言葉が知識だけにとどまらず、実体となってあなたの内に働くように、身体で考える訓練を心してみましょう。

  かえりみていてくださる神  (9月18日)

神はあなたがたをかえりみていて下さるのであるから、 自分の思いわずらいを、いっさい神にゆだねるがよい。     (Ⅰペテロ5・7)
 洗礼を受けてすぐの頃、このみ言葉に出会い、早速、「思い煩いをあなたにゆだねます」と祈りました。しかし一向に不安は消えず、状況が好転しているようにも見えません。とうとう「私には当てはまらない御言葉なのかも…」とがっかりしたことを覚えています。「神はかえりみていて下さる」という真の意味を、当時の私は知らなかったのです。
 「かえりみる」とは「あなたに重大な関心を払い、ずっと以前から慮っていて、今もあなたのことが心にあります」という意味です。神は、今あなたが直面している事態が起きる以前から、あなたがこの道を歩くことをご存知でした。「知っていたのなら、なぜ知らせてくれないのか…」と思いますか? その理由は神様の深い御心の中に秘められていて、人は知ることができません。
 しかし、ただ一つわかること、それは神様は私たちに不安を抱いていない、ということです。先々のことを見ておられる神が、「大丈夫。この中を歩いていけるよ」と、昔も今も、これからも「かえりみていて下さる」のです。
 今週も、この神と共に歩んでまいりましょう。

  今を生きる習慣  (9月25日)

 イギリスの小説家、ストーム・ジェームソン氏は次のように言いました。
「千人に一人だけが今を生きる芸当を心得ている。ほとんどの人は、1時間のうち59分を過去の失われた楽しみやまずい結果になった気まずさなどを考えて過ごす(どちらもまったく無用)。または、自分が夢見る、あるいは懸念する未来に生きている。自分が生きているのは、この1分、この時、今ここのみ。生きる唯一の方法は、毎瞬を決してくり返すことのできないものとして受け入れることによってのみ。まさにその通りで、それは奇跡であり、二度と帰らぬものなり。」
 「見るだけ、聞くだけ、学ぶだけ」という「三だけ人生」があります。前記のジェームソン氏の言葉と合わせると、なるほどとうなずけます。
 大切なことは、古い習慣を変え、新しい習慣を身につけることです。『1万時間の法則』に従えば、1日8時間で3年、物事を成し遂げるためにはそれほどの時間を要します。
 コツコツ、かつ、コツコツと、米沢興譲教会の理念である「今は恵みの時」(Ⅱコリント6・2)を、日々唱えつつ、何としても、「今を生きる」良き習慣を実体として培っていきましょう。

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